銀行が”評価しない決算書”の共通点
~税務と財務のズレが信用を失わせる~
銀行は決算書を見て、企業の信用力を判断します。しかし税務に偏りすぎた決算書は、銀行から評価されません。
税務署は適正性・証憑・処理基準を重視しますが、銀行は利益の質・返済能力・キャッシュフローを重視します。
この**”視点のズレ”**こそが、多くの企業が融資に失敗する原因なんです。
本記事では、銀行が評価しない決算書の共通点と、税務と財務を両立させる方法を実務的な視点から解説します。
銀行が評価しない決算書の共通点①:利益が低すぎる
税務の観点では利益を抑えることは節税になりますが、銀行は「利益=返済能力」と判断します。
銀行の視点
利益が小さい決算書は、銀行から見れば以下のように評価されます。
- 返済力が弱い
- キャッシュフローが不安定
- 事業構造に課題がある
結果として、融資枠が縮小する可能性があります。
【実例】あるシステム開発会社YY社のケース
YY社は毎期、外注費と広告費を駆使して利益をほぼゼロに抑えていました。税負担は少なかったのですが、新規事業のために融資を申し込んだところ、「3期連続で営業利益がほぼゼロ。収益力に疑問がある」として融資が否決されました。結果、事業拡大の機会を逃すことになりました。
銀行が評価しない決算書の共通点②:利益の”質”が悪い
税務だけを意識した節税のために、利益の質(recurring profit=継続的な利益)が低下している企業は要注意です。
銀行が特に見ているポイント
- 本業で黒字か(営業利益)
- 補助金や雑収入に依存していないか
- 単年度だけの黒字になっていないか
銀行は営業利益率や経常利益率を重視し、借入返済をしてもプラスであるかを評価します。
一時的な利益は、銀行評価の対象になりません。
【実例】ある製造業ZZ社のケース
ZZ社は補助金により単年度で大きな利益を計上しましたが、翌年は補助金がなく赤字に転落。銀行は「利益が不安定で返済能力に不安がある」と判断し、運転資金の融資を見送りました。
銀行が評価しない決算書の共通点③:役員勘定が多すぎる
銀行は「役員貸付金=社長のガバナンス不足」と強く判断します。
役員貸付金は決算書にあるだけでマイナス評価になる可能性があり、理想的な残高は0円です。
なぜ役員勘定が嫌われるのか
役員勘定が多い企業は、返済に回すはずのキャッシュを社長個人の支払いに用いていると思われ、銀行からの信用を大きく損ないます。
【実例】ある不動産会社AAA社のケース
AAA社では役員貸付金が800万円ありました。銀行は「返済計画がなく、会社の資金が個人的に使われている」と判断し、実質的な資産から役員貸付金を除外。自己資本が減少したと見なされ、融資限度額が大幅に引き下げられました。
銀行が評価しない決算書の共通点④:短期借入金が増え続けている
短期借入金の急増は「資金繰りに余裕がない」というサインです。
特に年末にかけて短期借入を増やす企業は、銀行から「運転資金が枯渇している」と判断され、融資が厳しくなります。
【実例】ある小売業BBB社のケース
BBB社は決算月の3月に向けて、短期借入金を急増させました。銀行は「資金繰りが逼迫している」と判断し、次回の融資審査で金利を引き上げ、追加の担保を要求しました。
銀行が評価しない決算書の共通点⑤:税務と財務のストーリーが不一致
銀行は「数字の一致」よりも“ストーリーの整合性”を重要視します。
よくある不一致の例
- 利益が減ったのに人件費は急増している
- 売上は横ばいなのに広告費だけが倍増
- 借入金が減っていないのに役員報酬が増えている
こうしたズレは、「経営を数字で管理していない」と判断されます。
企業がすべきこと①:税務と銀行評価のバランス調整
銀行評価を下げずに節税するには、「財務 → 税務」の順番で考える必要があります。
節税だけを追うと利益が減り、財務が弱い状態で税務だけ整う形になります。
考え方の順番
- 銀行評価が落ちないか確認
- 営業利益は黒字か
- 自己資本比率は維持できるか(30%以上が理想的な自己資本比率)
- 現預金は月商の2~3ヶ月分あるか
- キャッシュが十分に残るか確認
- 税務リスクがないか確認
- 節税効果を検討
企業がすべきこと②:利益調整の”理由”を説明できるようにする
銀行は、「なぜこの利益になったのか?」「来期はどうなるのか?」を最も知りたがります。
準備すべき説明資料
- 売上の構造
- 収益性の変動理由
- 一時的な支出の説明
- キャッシュフロー改善案
【ポイント】 単に「節税しました」では銀行は納得しません。「事業拡大のための設備投資」「従業員の採用による人件費増加」など、経営上の理由を明確に説明できることが重要です。
企業がすべきこと③:役員貸付金の削減
1月は役員勘定の整理に最も適しています。ゼロにするのが理想ですが、最低でも返済計画書を作成し、銀行へ説明できる状態にしておく必要があります。
対策
- 金銭消費貸借契約書の作成
- 適正な利率(年0.9%以上)での利息計上
- 明確な返済スケジュールの設定
- 1月中にゼロにすることが理想
企業がすべきこと④:月次で財務を監視する
決算書だけで銀行評価を作る時代は終わっています。銀行の審査は、月次試算表の内容まで含めて判断されるようになりました。
月次で確認すべき項目
- 月次で売上の推移を分析
- 原価率の変動理由を整理
- 人件費と利益のバランス管理
- 役員勘定の監視
- 現預金残高(月商の2~3ヶ月分が合格ライン)
「毎月の財務管理」が融資につながります。
税務と財務の両立に不安がある経営者の方へ
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- 節税と銀行評価を両立する決算戦略の提案
- 適切な節税施策のアドバイス
- 銀行評価を高める財務改善支援
- 財務指標の見える化とシミュレーション
- 月次での財務管理体制の構築支援
企業が税務調査の対象となる確率は約4%ですが、適切な準備をしておけば、税務調査はスムーズに進み、節税と財務の両立も可能です。
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まとめ:銀行評価は”節税よりも未来を見る視点”が鍵
税務と財務は役割が違います。節税は重要ですが、銀行評価を下げる節税は、企業の将来の選択肢を奪います。
1月は決算準備のスタートライン。税務と財務のバランスを再点検する最適な時期です。
銀行が評価しない決算書の5つの共通点
- 利益が低すぎる
- 利益の質が悪い
- 役員勘定が多すぎる
- 短期借入金が増え続けている
- 税務と財務のストーリーが不一致
【今日からできるアクション】
- 直近3期の営業利益と自己資本比率を確認する(30%以上が理想)
- 現預金が月商の2~3ヶ月分あるか確認する
- 役員貸付金の残高を確認し、返済計画を立てる
- 月次で財務指標を確認する仕組みを作る
- 税務調査あんしん対策パックで節税と財務の両立戦略を専門家と一緒に立てる
これらを実践することで、あなたの会社は「税務にも強く、銀行からも信頼される企業」になります。