申告書を”正しく読める企業”になる

~税務の品質を劇的に高めるチェックポイント~

申告書は税務の「完成品」ですが、多くの企業が内容を深く見ません。

その結果、節税漏れ・処理誤り・税理士任せのリスクが起こり、税務調査で初めて問題に気づく——というケースが非常に多いです。

本記事では、企業が申告書を正しく読むためのチェックポイントを、実務的な視点から詳しく解説します。


申告書を読めないリスク

申告書を読めないと、以下のようなリスクがあります。

  • 節税漏れに気づかない
  • 処理誤りを発見できない
  • 税理士の質を判断できない
  • 税務調査で初めて問題に気づく

税務調査では、調査官が事前に申告書のチェック(税務署では申告審理と呼ばれる)を行い、不審点があれば税務調査に選ぶこともあります。


ポイント①:別表四(損益の調整)

別表四は、税務上の損益計算書とも呼ばれ、法人税申告書の中で最も重要な書類です。

別表四に記載される主な項目

  • 減価償却の調整
  • 交際費の調整
  • 寄附金の限度超過
  • 役員給与の調整

毎年同じ項目で調整が続いている場合、改善されていない可能性があります。

【実例】ある製造業V社のケース

V社は3年連続で「減価償却超過額」が別表四に記載されていました。これは、会計上の減価償却費が税務上の限度額を超えている状態です。

社長は申告書を見ていなかったため、この問題に気づかず、結果的に過剰に経費を計上していました。税務調査で指摘され、3年分の修正が必要になり、約150万円の追徴課税となりました。

対策

前年比較を行う

別表四の加算・減算項目を前年と比較し、増減の理由を確認しましょう。


ポイント②:別表五(一)(利益の動き)

別表五(一)は、税務上の貸借対照表とも呼ばれ、利益の流れが分かる最重要書類です。

記載される主な項目

  • 繰越利益
  • 未払税金
  • 積立金
  • 減価償却超過額などの税務調整項目

ここに不自然な動きがある企業は、税務調査で必ず深掘りされます。

【実例】ある不動産会社W社のケース

W社の別表五(一)には「土地」という項目に1億円が記載されていました。これは、会計上で減損損失を計上したが、税務上は損金不算入となったため、その差額が別表五(一)に記載されているものでした。

社長はこの意味を理解していなかったため、税務調査で説明できず、調査官から「実態を把握していない」と判断され、他の項目も徹底的にチェックされました。

対策

利益積立金の動きを確認する

別表五(一)の「差引翌期首現在利益積立金額」が前年と比べてどう変化しているかを確認しましょう。


ポイント③:科目明細書

調査官が最も見る書類です。

チェックすべき科目

  • 交際費
  • 外注費
  • 雑費
  • 広告費
  • 役員報酬

不自然な増減は危険です。

【実例】ある飲食業X社のケース

X社の科目明細書で「雑費」が前年の3倍に増加していました。税務調査で内容を確認されると、本来は他の科目で処理すべき支出が「雑費」に含まれており、交際費の限度額超過を隠すための処理だと判断されました。約100万円の追徴課税となりました。

対策

前年比較と内容確認

科目明細書の各科目を前年と比較し、大きく増減している科目については、その理由を明確にしておきましょう。


ポイント④:別表十五(税額控除・特例の適用)

節税制度を使っている企業ほど、要件に合っているか確認が必要です。

主な税額控除・特例

  • 中小企業投資促進税制
  • 所得拡大促進税制(賃上げ促進税制)
  • 試験研究費の税額控除

【実例】ある製造業Y社のケース

Y社は中小企業投資促進税制を適用していましたが、取得した機械装置が「事業の用に供した」のが翌期だったため、要件を満たしていませんでした。税務調査で指摘され、税額控除が否認され、約80万円の追徴課税となりました。

対策

適用要件の確認

税額控除や特例を適用する場合は、要件を満たしているか必ず確認しましょう。


ポイント⑤:税理士の説明を理解できているか?

丸投げ企業ほど申告書の内容を理解できていません。

【実例】ある小売業Z社のケース

Z社は10年間同じ税理士に申告を依頼していましたが、社長は申告書の内容を一度も確認したことがありませんでした。ある日、知人の経営者から「所得拡大促進税制を使っていないの?」と言われ、税理士に確認したところ、適用できる状況だったのに提案されていませんでした。過去3年分で約250万円の節税機会を逃していたことが判明しました。

対策

税理士に質問する

申告書の内容で理解できない項目があれば、必ず税理士に質問しましょう。

質問例

  • 「なぜこの処理をしたのですか?」
  • 「この調整項目の意味は何ですか?」
  • 「前年と比べて変わった点は何ですか?」

企業がやるべき3つのこと

【1】前年比較を行う

増減の理由を確認し、不自然な動きがないかチェックしましょう。

【2】疑問点を税理士に質問

「なぜこの処理をしたのか?」を必ず聞きましょう。

【3】セカンドオピニオンを依頼

第三者が申告書を見るだけで、誤りが発見されることが多いです。


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具体的な内容

  • 申告書の読み方レクチャー
  • 別表四・別表五(一)の解説
  • 前年比較による問題点の洗い出し
  • 節税漏れのチェック
  • セカンドオピニオンとしての申告書チェック

企業が税務調査の対象となる確率は約4%ですが、申告書を理解している企業ほど、税務の品質が高く、調査もスムーズに進みます。

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まとめ:申告書を読める企業は”税務に強い企業”

申告書の理解は企業を守る武器です。1月は申告書の読み方を身につける最適なタイミングです。

申告書で確認すべき5つのポイント

  1. 別表四(損益の調整)
  2. 別表五(一)(利益の動き)
  3. 科目明細書
  4. 別表十五(税額控除・特例の適用)
  5. 税理士の説明を理解できているか

【今日からできるアクション】

  1. 別表四の加算・減算項目を前年と比較する
  2. 別表五(一)の利益積立金の動きを確認する
  3. 科目明細書で不自然な増減がないかチェックする
  4. 税額控除・特例の適用要件を確認する
  5. 税務調査あんしん対策パックで申告書の読み方を学ぶ

これらを実践することで、あなたの会社は確実に「税務に強い企業」になります。