税務署は”ここ”を見る
~1月に見直すべき内部統制の基本5項目~
内部統制というと大企業向けの言葉に聞こえますが、税務調査では中小企業こそ内部統制の有無が重視されます。
調査官は、「ガバナンスが弱い企業=ミスが多い企業」と判断します。
内部統制とは、企業が事業活動を健全に、また効率的に運営するために必要とされる仕組みであり、業務の有効性・効率性、財務報告の信頼性、法令遵守、資産の保全の4つの目的があります。
1月は内部統制を整える最適な月。本記事では、中小企業が最低限整えるべき5項目を、実務的な視点からまとめます。
項目①:承認フローの明確化
以下のような企業は非常に危険です。
- 社長がすべて承認
- 担当者がすべて判断
- 経費の基準が曖昧
理想的な承認フロー
承認ルールは「担当者 → 管理者 → 社長」の三段階が理想です。
【実例】ある運送業LLL社のケース
LLL社では社長が全ての経費を一括で承認していました。しかし内容の確認は甘く、社員の私的支出も混じっていました。
税務調査で内容を詳しく確認されると、社員の家族旅行や個人的な買い物が複数含まれており、約100万円が経費から否認されました。
対策
3段階承認制の導入
- 担当者が起票
- 管理責任者が内容確認
- 社長が最終承認
役員の支出は必ず第三者(経理担当者など)が確認
内部統制における承認プロセスでは、適正な権限を有する者のみが承認でき、第三者が改ざんできない仕組みが重要です。
項目②:証憑保存ルールの徹底
電子帳簿保存法が始まり、証憑保存は最重要項目です。
必須の対応
- PDF化
- スクリーンショット保存禁止
- 命名ルールの統一
- クラウド保存
【実例】あるコンサルティング会社MMM社のケース
MMM社では領収書の保存方法が担当者によってバラバラでした。紙で保存する人、PDFで保存する人、スクリーンショットで保存する人が混在。
税務調査で電子データの保存要件を満たしていないことが発覚し、約60万円分の経費が否認されました。
対策
証憑保存ルールの統一
- 電子取引データは電子のまま保存
- フォルダ構成の統一(例:「2026年1月_請求書」)
- ファイル命名規則の統一(例:「20260115_株式会社○○_請求書.pdf」)
- 日付・金額・取引先で検索できる仕組み
- 事務処理規程の整備
項目③:売上計上の統一ルール
案件ごとに基準が違う企業は、調査官が最も嫌う企業です。
【実例】ある製造業NNN社のケース
NNN社では、担当者Aさんは「納品日」、担当者Bさんは「請求日」で売上計上しており、基準が統一されていませんでした。
税務調査で「基準が不統一で恣意的な利益調整の疑いがある」と指摘され、3年分の売上計上タイミングを全てチェック。結果、約250万円の追徴課税となりました。
対策
売上計上基準の文書化
【売上計上基準】
1. 商品販売:納品日
2. 工事契約:検収日
3. サービス提供:役務提供完了日
4. サブスク契約:提供期間に按分
【適用開始日】2026年1月1日
【承認者】代表取締役
この文書を全社で共有し、徹底しましょう。
項目④:役員勘定の明確化
役員貸付金・借入金がある企業は、内部統制が弱いと判断されます。
【実例】ある不動産会社OOO社のケース
OOO社では役員貸付金が700万円ありました。税務調査で「返済計画もなく、会社の資金が個人的に使われている」と判断され、実質的な資産から役員貸付金を除外。自己資本が減少したと見なされ、融資限度額が大幅に引き下げられました。
対策
役員勘定の管理ルール
- 金銭消費貸借契約書の作成
- 適正な利率(年0.9%以上)での利息計上
- 明確な返済スケジュールの設定
- 月次での残高確認
- 発生したらすぐに理由を把握し、速やかに返済
項目⑤:業務分担の明確化
担当者が売上処理・経費処理・承認・支払のすべてを行う企業は危険です。
なぜ危険なのか
一人の担当者が全ての業務を行うと、不正やミスが発見されにくくなります。内部統制の基本は「職務の分掌」であり、チェック機能が働く体制を作ることが重要です。
【実例】ある飲食業PPP社のケース
PPP社では経理担当者1人が、請求書の作成・承認・支払・記帳の全てを行っていました。担当者が架空の請求書を作成し、自分の口座に振り込むという不正を3年間続け、総額で約1,500万円の横領が発覚しました。
対策
業務分担の例
- 担当者A:請求書作成・起票
- 担当者B:承認・チェック
- 担当者C:支払実行
- 担当者D:記帳・照合
少なくとも「起票」と「承認」は別の人が行う体制を作りましょう。
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まとめ:内部統制がある企業は調査が圧倒的に軽い
1月は仕組みを整える絶好のタイミングです。内部統制を見直すことで、調査リスクは大きく減ります。
1月に見直すべき内部統制の基本5項目
- 承認フローの明確化
- 証憑保存ルールの徹底
- 売上計上の統一ルール
- 役員勘定の明確化
- 業務分担の明確化
内部統制は、業務の有効性・効率性、財務報告の信頼性、法令遵守、資産の保全という4つの目的を達成するための重要な仕組みです。
【今日からできるアクション】
- 承認フローを3段階制に整備する
- 証憑保存のルールを文書化し、全社で統一する
- 売上計上基準を明文化する
- 役員貸付金の残高を確認し、返済計画を立てる
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