税務署は2月に企業の”申告精度”を見る
~決算直前こそ危険な5つの論点~
2月——決算作業が本格化するタイミングです。企業がもっとも税務処理を詰め込む時期であり、一方で税務署側は「どの企業に調査可能性があるか」を静かにウォッチするタイミングでもあります。
特に2月は、調査官の視点が「単純な誤り」ではなく“申告精度”にシフトします。
申告精度とは、数字そのものよりも処理が適切に運用されているかという指標です。
決算月が2〜5月の法人は、7〜12月に税務調査が入りやすく、さらに調査も厳しくなる傾向があります。税務署の人事異動が7月10日にあり、上期の調査は6月末までには終わらせる必要があるため、上期は対象法人の期間が限られる分、調査の集中度や厳しさが増します。
本記事では、2月に必ず押さえるべき申告精度の5大論点を、実務的な視点から整理します。
論点①:売上計上日のズレは「期末調整」では消せない
2月は「売上計上を期末で合わせればいい」という誤解がもっとも発生する月です。
しかし調査官が見るのは帳簿日付ではなく実態の発生日(役務完了日)です。
典型的に深掘りされるケース
- 納品 → 翌月請求 → 翌期入金
- サービス提供完了 → 計上は翌月
- 月中案件を翌月に繰り延べ
すべて「売上日基準が統一されていない企業」として調査対象になります。
【実例】あるWeb制作会社A社のケース
A社は2月中に複数のプロジェクトが完了しましたが、請求書の発行が3月にずれ込んだため、売上も3月に計上しました。税務調査で「実質的に2月に役務提供は完了している」と指摘され、期ズレとして修正申告を求められました。追徴税額は約200万円でした。
対策
売上計上基準を明文化し、全社で統一しましょう。2月の時点で、納品・検収状況を詳細にリスト化し、計上漏れがないか確認することが重要です。
論点②:役員勘定は2月から”戻せなくなる残高”
決算月直前の2月で役員貸付金・役員借入金が残っている企業は要注意です。
2月末残高はそのまま決算リスク評価に直行します。
特に危険な4項目
- 会社カードの私的利用
- 個人口座で会社支払い
- 家族関連支出の混在
- 立替金が戻らない
この4項目は税務署が最初に照準を合わせる部分です。
2月に整理できなければ、3月は事実上「帳簿を触れない月」になり、結果的に申告書に残高が乗ります。
【実例】ある飲食業B社のケース
B社では2月時点で役員貸付金が400万円ありましたが、「決算までに返済すればいい」と放置しました。しかし3月は決算作業で多忙となり、結局返済できず、申告書に残高が記載されました。
税務調査で「返済計画がなく、会社の資金が個人的に使われている」と判断され、役員賞与と認定。約150万円の追徴課税となりました。
対策
2月中に役員貸付金をゼロにしましょう。最低でも、金銭消費貸借契約書と返済計画を作成し、適正な利率(年0.9%以上)で利息を計上することが必要です。
論点③:外注費・広告費は”成果物証明”が必須
2月に最も否認される科目セットです。
税務署の評価
| 科目 | 税務署評価 |
|---|---|
| 外注費 | 実態なし・架空計上の可能性 |
| 広告費 | 単価根拠が曖昧 |
| コンサル費 | 成果物・報告書不備 |
2月は「請求書がある=OK」では遅いです。
調査官は“請求書以外の裏付け”を要求します。
必要な証拠
- 納品データ
- 進行レポート
- 契約書で定義された範囲との整合
- 振込記録
成果物が揃っている企業は、2月の調査候補から外れます。
【実例】あるIT企業C社のケース
C社は外注先に月額80万円を支払っていましたが、2月時点で契約書も成果物の記録もありませんでした。決算後の税務調査で「実態のない外注費」として2年分、約1,920万円が否認され、追徴税額は約650万円に達しました。
対策
2月中に以下を整理しましょう。
4点セットの確認
- 契約書(期間、内容、金額、成果物の範囲)
- 請求書(契約内容との整合性)
- 成果物(納品データ、作業報告書、提出物)
- 支払実績(銀行口座からの支払記録)
論点④:棚卸差異は数字以上に”説明能力”で判断される
棚卸の差異そのものより、調査官が見るのは差異理由の説明一貫性です。
よくある差異理由
- 破損
- 廃棄
- 評価減
- 型落ち
説明が曖昧な企業ほど「意図的調整」と見なされるリスクが急上昇するのが2月です。
【実例】ある小売業D社のケース
D社は2月の棚卸で、前年比200万円の在庫減少が発生しました。税務調査で理由を聞かれましたが、「よくわかりません」と曖昧に回答。調査官は「不自然な在庫評価減」と判断し、評価減が否認され、約70万円の追徴課税となりました。
対策
棚卸差異には必ず理由を記録しましょう。
記録すべき内容
- 破損・廃棄の写真
- 廃棄記録(日付、数量、理由)
- 評価減の根拠(市場価格の下落データ)
- 継続的なルールの文書化
論点⑤:交際費・福利厚生費は「二層判定」
2月は調査官が最も「接待」と「従業員福利厚生」を分離して見る月です。
判断軸の違い
| 科目 | 判断軸 |
|---|---|
| 交際費 | 対社外、営業目的、選別性あり |
| 福利厚生費 | 全従業員対象、平等性、継続性 |
忘年会・新年会・贈答が重なる年末期の処理が、2月帳簿で露呈します。
【実例】ある製造業E社のケース
E社は12月の忘年会費用を「福利厚生費」で処理しましたが、実際には役員と幹部社員のみが対象でした。税務調査で「全従業員対象ではない」として福利厚生費が否認され、交際費に振り替えられました。約90万円の追徴課税となりました。
対策
福利厚生費の要件確認
- 全従業員を対象としているか
- 参加者名簿を作成しているか
- 社会通念上、妥当な金額か
交際費の記録
- 1人あたり5,000円以上の飲食
- 参加者リスト
- 業務との関連性
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- 役員勘定の適正化アドバイス
- 外注費・広告費の証拠整理支援
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まとめ:2月は”申告精度の最終監査月”
帳簿をキレイにする月ではなく、帳簿の整合性と説明能力を仕上げる月です。
売上計上・役員勘定・外注費成果物・棚卸差異・交際費線引き——この5つを2月に詰める企業ほど、調査を回避し、追徴防止に成功します。
2月に押さえるべき5つの論点
- 売上計上日のズレ
- 役員勘定の整理
- 外注費・広告費の成果物証明
- 棚卸差異の説明能力
- 交際費・福利厚生費の区分
【今日からできるアクション】
- 売上計上基準を確認し、2月の納品・検収状況をリスト化する
- 役員貸付金を2月中にゼロにする
- 外注費・広告費の4点セット(契約書・請求書・成果物・支払記録)を整理する
- 棚卸差異の理由を記録し、証拠を保存する
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