外注費・広告費・コンサル費
~調査官がもっとも疑う”実態不明科目”の正しい整備方法~
外注費・広告費・コンサル費は、税務調査で最も深掘りされやすい科目です。
理由は単純で、「成果物が存在するかどうか」「金額と内容が一致しているか」が外部から判別しにくいからです。
外注費が給与と認定されると、源泉所得税の追徴や消費税の仕入税額控除否認が発生し、追加で納付する税額が大きくなります。
本記事では、実態不明と判断されやすい科目の整備方法を、実務的な視点から体系的にまとめます。
なぜ外注費・広告費・コンサル費が疑われるのか?
次の3つが理由です。
①架空計上に使われやすい
請求書や契約書、納品書が揃っていない、あるいは内容に不自然な点があると、税務署は架空外注費を疑います。
請求書だけ存在するケースは架空計上の典型です。
②金額の妥当性を判断しにくい
外注作業の単価は業界ごとに違い、「相場」がありません。そのため、過大計上されていても発見しにくいという特徴があります。
③成果物が見えにくい
広告、SNS運用、コンサル…成果が数字に現れにくいため、調査官は実態を確認したくなります。
調査官が確認する”4つの証憑セット”
税務調査で外注費を否認されないためには、業務委託契約書や請負契約書を作成し、請求書をきちんと保管しておくことが重要です。
調査官は外注費を確認する際、以下のセットが揃っているかをチェックします。
【1】契約書
以下が明記されているか確認されます。
- 期間
- 内容
- 金額
- 成果物の範囲
外注費は成果物に対する報酬であり、成果物が納品されなければ報酬が発生しないことを契約書に明記する必要があります。
【2】請求書
契約内容と整合しているか確認されます。
【3】成果物
以下のような証拠が必要です。
- 納品データ
- 作業報告書
- 提出物
- 画像、動画、資料など
「存在しているかどうか」が重要です。
【4】支払実績
銀行口座からの支払記録が必要です。
この4点が揃っていないと、調査官は「実態がない」と判断します。
外注費で実際に否認されるケース(実例ベース)
ケース1:社長の知人に依頼したケース
実態のない「友人外注」は最も疑われます。
【実例】あるWeb制作会社CCC社のケース
CCC社は社長の友人が経営する会社に月額30万円の外注費を支払っていましたが、契約書も成果物の記録もありませんでした。税務調査で「実態のない外注費」として2年分、約720万円が否認され、追徴税額は約250万円に達しました。
ケース2:SNS広告運用の成果物がない
広告費は成果物がデジタルのため、資料が何も残っていない企業が多いです。
【実例】ある飲食業DDD社のケース
DDD社はSNS広告運用会社に月額20万円を支払っていましたが、広告レポートもアクセス解析データも保存していませんでした。税務調査で「効果が不明で実態が確認できない」として、1年分、約240万円が否認されました。
ケース3:定額コンサル契約の内容が曖昧
「毎月20万円の顧問コンサル」
契約書に業務内容が具体的に書かれていない、納品書がなく成果物の存在を証明できない場合、架空外注費と判断されます。
成果物がないと、調査官は全額否認も可能です。
【実例】ある製造業EEE社のケース
EEE社は経営コンサルタントに月額50万円を支払っていましたが、契約書には「経営支援業務」とだけ記載され、具体的な業務内容や成果物の記録がありませんでした。税務調査で「実態が不明」として2年分、約1,200万円が否認され、追徴税額は約400万円に達しました。
企業が整備すべき仕組み①:外注費のフォーマット化
外注費は「毎回同じ形式」で管理することが重要です。
フォルダ構成例
/2026年/外注費/
├案件名A/
│ ├契約書.pdf
│ ├請求書.pdf
│ ├成果物/
│ └支払エビデンス.pdf
├案件名B/
│ ├契約書.pdf
│ ├請求書.pdf
│ ├成果物/
│ └支払エビデンス.pdf
このように統一したフォルダ構成で管理することで、税務調査時にすぐに資料を提示できます。
企業が整備すべき仕組み②:成果物のチェックシート
成果物の有無をチェックするだけで、実態不明リスクが下がります。
チェックシート例
| 案件名 | 契約書 | 請求書 | 成果物 | 支払実績 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| A社外注 | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | – |
| B社広告 | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | レポート添付 |
| Cコンサル | ✓ | ✓ | △ | ✓ | 報告書要追加 |
このようなチェックシートを月次で作成し、抜け漏れを防ぎましょう。
企業が整備すべき仕組み③:金額の妥当性を説明できる資料
以下を準備しておくことで、金額の妥当性を説明できます。
- 工数
- 内訳
- 類似案件との比較
最低でも「説明できる状態」にしておきましょう。
説明資料の例
A社外注費 月額30万円の内訳
- システム開発:20時間 × 15,000円 = 300,000円
- 類似案件:B社の同様の業務で月額28万円
このように具体的な根拠を示すことが重要です。
外注費が給与と認定されるリスク
外注費が給与と認定されると、源泉所得税の追徴、消費税の仕入税額控除否認、過少申告加算税・延滞税が発生します。
給与と認定される典型的なケース
実質的には社員として働いている人に対して、外注費という名目で報酬を支払い、源泉所得税や社会保険料、消費税の負担を回避しようとする例(偽装請負)
- 指揮命令を受けて業務を行っている
- 勤務時間が指定されている
- 材料や機材を会社が支給している
- 他人に代替できない業務
【実例】ある運送業FFF社のケース
FFF社はドライバーを個人事業主として業務委託契約を結んでいましたが、実態は以下の通りでした。
- 毎日9時〜18時の勤務時間指定
- 会社の指示に従って配送
- トラックは会社が提供
税務調査で「実態は雇用契約」として給与認定され、3年分の源泉所得税と消費税で約800万円の追徴課税となりました。
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まとめ:外注費は”揃えるだけ”で税務調査に強くなる
外注費・広告費・コンサル費は、企業が最もミスしやすい科目ですが、逆にいえば「契約書」「請求書」「成果物」「支払実績」を揃えるだけで強くなります。
1月はこうした体制整備に最適な月。新しい年に向けて、整備を始める絶好のチャンスです。
外注費の整備に必要な4点セット
- 契約書(期間、内容、金額、成果物の範囲)
- 請求書(契約内容との整合性)
- 成果物(納品データ、作業報告書、提出物)
- 支払実績(銀行口座からの支払記録)
【今日からできるアクション】
- 外注費の契約書・成果物が揃っているか確認する
- フォルダ構成を統一し、管理しやすくする
- 成果物チェックシートを作成する
- 金額の妥当性を説明できる資料を準備する
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