「消費税処理と契約書確認」9月から始める経理チェックリスト

下半期のスタートとなる9月。事業が動き出すこの時期は、経理処理や税務対応を一度整理し直す好機でもあります。

特に、以下のような項目は9月に見直すことで、年末に向けたトラブルや手戻りを防ぐことができます:

  • 新規取引先との契約書
  • 消費税の処理方法
  • 経費精算や仕入明細の整備
  • インボイス制度対応の漏れ

この記事では、9月のタイミングで行いたい「経理チェック項目」をまとめたうえで、専門家としての視点から注意点を解説します。


1. 新規取引先との契約書確認

▶ なぜ今、契約書を再確認すべきなのか?

下半期に新規の取引先や業者との契約を結ぶ機会は多い時期です。

しかし「口頭での発注が増えている」「契約書が後回し」など、リスクの温床になる場面も少なくありません。

▶ チェックすべきポイント

  • 契約期間と自動更新条項の有無
  • 税別・税込表記(消費税区分)
  • 支払条件(支払サイト、振込手数料など)
  • インボイス発行事業者の登録番号記載の有無

▶ トラブル防止のために

万一、税務調査で契約書の不備を指摘されると、「経費の否認」や「仕入税額控除の否認」といった不利益を受ける可能性も。

契約書類は電子保存でもOKですが、社内の保管ルールも明文化しておきましょう。


2. 消費税処理の確認ポイント

▶ 「軽減税率」や「経費と資産の区分」など、盲点になりがち

日々の経理処理の中で、消費税の誤りが蓄積されると、年末の申告時に大きなミスへとつながることがあります。

特に以下のような取引は要注意です。

取引注意点
軽減税率の飲食代社内会議費 vs 交際費、レシートの内訳確認
ソフトウェアの導入一括費用か、資産計上か
海外取引輸入時の消費税・関税処理、課税区分

▶ 税理士からのアドバイス

9月時点で、1〜8月分の経費・仕入の処理方法を棚卸ししましょう。

不安な科目については、科目の統一や記帳ルールの明確化を図ることで、年末の修正対応を防げます。


3. インボイス制度対応の棚卸し

▶ 適格請求書の発行・保存は「できているつもり」が一番危ない

インボイス制度が始まって1年近く。

「形式上は対応している」が、実際には以下のようなミスが多発しています。

  • 登録番号の記載漏れ
  • 領収書や納品書のみ保管し、請求書が未保存
  • PDFは保管したが、検索機能要件を満たしていない

▶ 今すぐ確認しておきたい3つの視点

  1. 保存している請求書はインボイスに該当しているか
  2. 支払先が「適格請求書発行事業者」か確認したか
  3. 電子保存の環境は整っているか(検索・改ざん防止)

インボイス制度では、形式ミスでも仕入税額控除が否認されるリスクがあります。

一度、税理士と一緒に確認することをおすすめします。


【まとめ】9月こそ「経理リスクの発掘と予防」に取り組むべき

下半期のスタートは、ただの月替わりではありません。

これまでの経理処理の見直しと、これからのルール整備を行う絶好の機会です。

9月に見直すべきチェックリスト:

  • ✅ 契約書の内容と保管方法
  • ✅ 消費税処理の妥当性と一貫性
  • ✅ インボイス制度への実務対応状況

「今は問題ないけど、実はリスクが潜んでいるかも」

そんな不安がある方は、ぜひお気軽にセカンドオピニオンとしてご相談ください。