「消費税処理と契約書確認」9月から始める経理チェックリスト
2025年9月5日
下半期のスタートとなる9月。事業が動き出すこの時期は、経理処理や税務対応を一度整理し直す好機でもあります。
特に、以下のような項目は9月に見直すことで、年末に向けたトラブルや手戻りを防ぐことができます:
- 新規取引先との契約書
- 消費税の処理方法
- 経費精算や仕入明細の整備
- インボイス制度対応の漏れ
この記事では、9月のタイミングで行いたい「経理チェック項目」をまとめたうえで、専門家としての視点から注意点を解説します。
1. 新規取引先との契約書確認
▶ なぜ今、契約書を再確認すべきなのか?
下半期に新規の取引先や業者との契約を結ぶ機会は多い時期です。
しかし「口頭での発注が増えている」「契約書が後回し」など、リスクの温床になる場面も少なくありません。
▶ チェックすべきポイント
- 契約期間と自動更新条項の有無
- 税別・税込表記(消費税区分)
- 支払条件(支払サイト、振込手数料など)
- インボイス発行事業者の登録番号記載の有無
▶ トラブル防止のために
万一、税務調査で契約書の不備を指摘されると、「経費の否認」や「仕入税額控除の否認」といった不利益を受ける可能性も。
契約書類は電子保存でもOKですが、社内の保管ルールも明文化しておきましょう。
2. 消費税処理の確認ポイント
▶ 「軽減税率」や「経費と資産の区分」など、盲点になりがち
日々の経理処理の中で、消費税の誤りが蓄積されると、年末の申告時に大きなミスへとつながることがあります。
特に以下のような取引は要注意です。
取引 | 注意点 |
---|---|
軽減税率の飲食代 | 社内会議費 vs 交際費、レシートの内訳確認 |
ソフトウェアの導入 | 一括費用か、資産計上か |
海外取引 | 輸入時の消費税・関税処理、課税区分 |
▶ 税理士からのアドバイス
9月時点で、1〜8月分の経費・仕入の処理方法を棚卸ししましょう。
不安な科目については、科目の統一や記帳ルールの明確化を図ることで、年末の修正対応を防げます。
3. インボイス制度対応の棚卸し
▶ 適格請求書の発行・保存は「できているつもり」が一番危ない
インボイス制度が始まって1年近く。
「形式上は対応している」が、実際には以下のようなミスが多発しています。
- 登録番号の記載漏れ
- 領収書や納品書のみ保管し、請求書が未保存
- PDFは保管したが、検索機能要件を満たしていない
▶ 今すぐ確認しておきたい3つの視点
- 保存している請求書はインボイスに該当しているか
- 支払先が「適格請求書発行事業者」か確認したか
- 電子保存の環境は整っているか(検索・改ざん防止)
インボイス制度では、形式ミスでも仕入税額控除が否認されるリスクがあります。
一度、税理士と一緒に確認することをおすすめします。
【まとめ】9月こそ「経理リスクの発掘と予防」に取り組むべき
下半期のスタートは、ただの月替わりではありません。
これまでの経理処理の見直しと、これからのルール整備を行う絶好の機会です。
9月に見直すべきチェックリスト:
- ✅ 契約書の内容と保管方法
- ✅ 消費税処理の妥当性と一貫性
- ✅ インボイス制度への実務対応状況
「今は問題ないけど、実はリスクが潜んでいるかも」
そんな不安がある方は、ぜひお気軽にセカンドオピニオンとしてご相談ください。