みちくさ⑥ ペーパーレス化で変わる調査体制

税務調査の今昔物語②

税務調査とは、適正公平な課税の実現の一環として行われます。そして、税務調査の根本は不正計算の把握ということにあります。税金の負担を逃れようとする悪質な納税者に対して、適切な調査体制を編成し、厳正な調査を実施することとしています。

私が税務署に勤務を始めたのは、昭和56年(1981年)です。この頃はまだ全てが紙保管で、総勘定元帳、請求書、領収書など、ほぼほぼ手書きで作成されていました。
こうした「手書きの作成」と「紙保管」を主とした体制のとき、不正計算の把握をするために必要なものは、不正計算の元となるもの、メモ、資料などとなります。

しかし、時代は移り、手書きで作成されていた会計帳票は、伝票会計からコンピューターに入力し、アウトプットされた帳簿を保存、表計算ソフトなどの発展により、メモ資料はデータとなり、そのやり取りも郵送やFAXからメールとなり、さらに会計ソフトの進化により会社で入力が行えるようになりました。ペーパーレス化が進むにつれ、調査の展開等も変化していっています。

そう、私が国税局の調査部にいたころには、データをダウンロードして、エクセル、アクセスなどを用いて加工し、問題のある事項を抽出し、さらには、パソコンの中身を確認することを念頭において調査を行っていました。
これは20年前のことですが、法律で云々ということではなく、調査展開の中でいかにパソコン内の確認や、資料保管場所の現場確認を行うか、ということでした。
しかし、法整備がされていない部分もあり、トラブルとなることもあります。
法律が制定されれば、調査をする側も法に則った対応をできるようになるわけです。