経営者が知らない「税務調査の優先順位」
~調査官が”最初に数字を見る場所”を理解して、スムーズな調査対応を~
税務調査と聞くと「全ての帳簿をくまなく調べられる」と思っていませんか?実は、調査官には明確な“数字を見る順番”があり、この順番を理解しているかどうかで、調査の深さや流れが大きく変わります。
多くの企業は「税務調査はランダムに進む」と考えていますが、調査官の思考プロセスは完全に体系化されています。このプロセスを理解することで、企業は事前に効果的な対策を取り、調査を大幅にスムーズにすることができるんです。
本記事では、税務調査官が“最初に見る数字”とその理由、そして企業がどう準備すべきかを実務的な視点から解説します。
調査官が最初に見る数字は「利益率」
税務調査官は、企業に到着した瞬間に真っ先に“利益率”を確認します。
なぜなら、利益率は企業の健全性と不正の可能性の両方を反映する数字だからです。
利益率が低すぎる企業に対する見方
調査官は次のような疑いを持ちます。
- 不自然な経費の計上
- 役員への利益移転
- 売上の計上漏れ
- 過大な外注費
「利益が少ない=税金を減らす意図があるのでは?」と判断されてしまうのです。
【実例】ある飲食業G社のケース
G社は前年まで利益率が15%前後で推移していましたが、ある年突然5%まで低下。調査官は「急激な利益率の変化」に注目し、広告費と修繕費を詳しく調査しました。結果、決算月にまとめて計上した修繕費の一部が、実際には資本的支出(資産計上すべきもの)と判断され、約200万円の追徴課税となりました。
利益率が高すぎる企業も要注意
実は利益率が高すぎても調査対象になります。
理由は以下のとおりです。
- 経費計上の漏れ
- 役員報酬の過少設定
- 賞与の未払い計上不足
企業側の知識不足による「税務処理の欠落」が発生している可能性が高いと見られるからです。
次に調査官が注目する3つの科目
利益率の次に調査官が注目するのが、「金額が大きく、実態が見えにくい科目」です。
①交際費
12月や3月は交際費が大きく増える時期ですが、調査では以下が深掘りされます。
- 誰と会ったのか
- 本当に業務に関連しているか
- インボイス(適格請求書)はあるか
- 参加者の顔ぶれ(全員が業務関係者か)
実態が薄い支出と見なされると、即座に資料の提出を求められます。
対策ポイント
- 5,000円以上の飲食は参加者名簿を作成
- 業務との関連性を簡単にメモ
- 領収書の裏に「○○社との商談」など記載
②外注費
最も不正が起きやすい科目であり、調査官が必ず確認する項目です。
チェックされるポイント
- 契約書の有無
- 成果物の実在性
- 作業報告書
- 請求書との整合性
特に役員の関連会社への支払いは、調査が厳格化されます。
【実例】あるコンサルティング会社H社のケース
H社は社長の親族が経営する会社に月額50万円の業務委託費を支払っていましたが、契約書も成果物の記録もありませんでした。税務調査で「実態のない外注費」として2年分、約1,200万円が否認され、追徴税額は約400万円に達しました。
③広告費
Web広告やSNS広告が増えたことで、最近はこの科目も深掘りされる傾向にあります。
確認される内容
- 広告の内容と実施証拠
- 単価の妥当性
- 効果測定の有無
- 事業との関連性
広告費は架空計上や利益調整に使われやすいため、特に注意が必要です。
対策ポイント
- 広告レポート(アクセス解析、コンバージョン率)を保存
- 契約書や発注メールを整理
- 効果が不明な広告は避ける
調査官が絶対に見逃さない「役員勘定」
税務調査の王道項目といえるのが「役員貸付金・役員借入金」です。
理由は一つ。不正や誤りが最も多い科目だからです。
よくある問題
- 会社の支払いで個人の支出を処理
- 役員貸付金が長期間返済されない
- 役員借入金の根拠が曖昧
- プライベートカードの利用混在
これらがあると、配当認定・賞与認定→追徴課税という最悪の流れにつながります。
法人の税務調査実施率は令和4年度で約2.0%ですが、実地調査を実施された企業の約80%に何らかの間違いが指摘されており、役員勘定は最も指摘が多い項目の一つです。
【重要】役員貸付金の適正利率
役員貸付金には最低でも年0.9%(令和4年〜令和6年)の利率設定が必要です。この利率を下回ると、利息の差額分が役員の給与として認定される可能性があります。
対策
- 金銭消費貸借契約書の作成
- 適正な利率での利息計上
- 明確な返済スケジュールの設定
- 月次での残高確認
- 理想は調査前に役員貸付金をゼロにすること
調査官が最後に確認する「現金預金の動き」
現金残高のズレは、不正の典型的なサインです。調査官は以下を重点的に確認します。
チェックポイント
- 現金残高と帳簿残高の一致
- 小口現金の不自然な増減
- 銀行口座の入出金記録
- 社長の個人口座の使用有無
企業が最も「見られたくない」と感じるポイントを、調査官は熟知しています。
【実例】ある小売業I社のケース
I社では現金売上の一部を帳簿に計上せず、社長の個人口座に入金していました。税務調査で銀行口座の入金記録を照合され、3年分の売上計上漏れが発覚。重加算税を含めて約800万円の追徴課税となりました。
調査官の優先順位に合わせた準備のポイント
調査官の思考順に対策を行うことで、調査は驚くほどスムーズになります。
【1】利益率の変動理由を明確に説明できるようにする
- 売上減少の理由(市場環境、競合増加など)
- 原価増加の理由(仕入先変更、材料費高騰など)
- 一時的な経費増加の理由(設備投資、広告キャンペーンなど)
これらを資料化しておきましょう。
【2】交際費・外注費の説明資料を整理
交際費
- 用途と参加者リスト
- 業務との関連性のメモ
外注費
- 契約書
- 成果物
- 作業報告書
を必ずセットで保管してください。
【3】役員勘定をゼロに近づける
小さな残高でも説明が必要です。できる限り調査前に解消しましょう。
【4】現金残高・銀行取引を月次で整合
年末にまとめて確認するのは危険です。月次で必ず照合しましょう。
【5】証憑保存のルール化
電子帳簿保存法が2024年1月1日から完全義務化されました。電子取引データは電子のまま保存する必要があります。
- PDFファイルは指定フォルダへ保存
- メール領収書はPDF化して保管
- 日付・金額・取引先で検索できる仕組みを整備
税務調査に不安がある経営者の方へ
「調査官の優先順位は理解したけど、自社の現状がどうなのか不安…」 「役員貸付金があるけど、どう解消すればいいかわからない…」 「利益率が急に変わったけど、説明できるか心配…」
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こんな経営者におすすめ
- 税務調査が心配だけど、何から準備すればいいかわからない
- 役員貸付金や交際費など、指摘されそうな項目がある
- 利益率が急に変わったが、説明できるか不安
- 税理士はいるが、税務調査対策まで十分にできていない
詳しくは以下のURLをご覧ください。
https://zeimuanshin.cr-tax.jp/
まとめ:調査官の見る順番を知ることが最大の対策
税務調査はランダムではありません。調査官の見る順番を理解するだけで、企業はリスクを大幅に下げることができます。
調査官が見る優先順位
- 利益率
- 交際費/外注費/広告費
- 役員勘定
- 現金預金
この順番を押さえ、事前に準備しておくことで、企業は税務調査に強くなり、余計な税負担を避けることができます。
【今日からできるアクション】
- 直近3年分の利益率の推移を確認し、変動理由を整理する
- 交際費・外注費の資料(契約書、成果物)を点検する
- 役員貸付金の残高を確認し、返済計画を立てる
- 現金残高と帳簿残高の照合を月次で行う仕組みを作る
- 税務調査あんしん対策パックで専門家のサポートを受ける
これらを実践することで、あなたの会社は確実に「税務調査に強い企業」になります。