なぜ税務調査が行われる?調査範囲などを解説します

現在企業を経営している人にとって、税務調査ほど怖いものはありません。

それもそのはず、税務調査に来た税務職員は『貴方の企業に疑わしきところがある』から税務調査をしに来ているのです。

税務職員が税務調査に来た以上、必ず応じなければならないので、「自分の企業にも税務調査が来たらどうしよう」と不安に感じている人も多いのではないでしょうか。

それでは、税務調査が行われる理由やデメリット、どんなことを質問してくるのかなどをご説明しましょう。

◆ なぜ税務調査が行われる?

税務調査が行われる理由はただ一つ、悪質な不正計算を是正するためです。

基本的に税務官は内国税を適正かつ公平に徴収するのが目的なので、不正な計算や脱税などの悪質な税金逃れなどを監視するかのように重視しています。

つまり、そんな税務官に目を付けられた企業は、もしかしたら悪質な不正計算や脱税をしているのではないかと疑われているということになります。

税務職員は基本的に「疑わしきは罰せず」という考えを持っているので、特に何も問題がない限りは税務調査が行われることはありません。

しかし、税務調査が入るということは、その企業の税務上の計算などの中で疑わしき点があることになります。

たとえ身に覚えがなかったとしても税務調査は関係なく行われるため、素直に応じるしかありません。

○税務調査を断ることはできる?

基本的に税務調査は事前に電話で税務調査を行うスケジュール調整を行います。

そして事前に決めた調査日に税務職員が企業にやってきて税務調査を行います。

ですが、税務調査には強制調査と任意調査の2種類があるのが特徴です。

強制調査の場合は絶対に断ることはできませんが、ほとんどの場合は任意調査が行われます。つまり、任意なので税務調査を断ることができるとも言えるでしょう。

しかし、任意調査を断ることはできません。

何故なら、税務職員には必要に応じて納税義務者に対して質問・検査等ができる質問検査権が与えられていること、法的に税務調査を行う権利が認められていること、そして国税通則法128条により、以下の行為を行った者は1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

  • 税務職員の質問に対して答弁せず、若しくは偽りの答弁をし、又はこれらの規定による検査、採取、移動の禁止若しくは封かんの実施を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
  • 税務職員要求に対して、正当な理由がなくこれに応じず、又は偽りの記載若しくは記録をした帳簿書類その他の物件を提示し、若しくは提出し、若しくは偽りの報告をした者

引用元:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=337AC0000000066#Mp-At_128

したがって、税務調査の拒否、虚偽の報告、正当な理由なく帳簿などを見せなかった場合は法律違反となるため、任意調査といっても実際は強制調査と同じです。

○税務調査の範囲

気になる税務調査の範囲ですが、一般的に対象になるのは個人事業主の場合だと所得税、法人の場合は法人税となります。

具体的には消費税や源泉所得税、印紙税の調査も対象になります。

また、税務調査における対象期間は基本的に3年間です。3年前までさかのぼって問題がないか徹底して調査するので、疑わしき点がなければそこで税務調査は終了するでしょう。

しかし、もしも疑わしき点があった場合は過去5年間まで遡って調査を行います。

また、重大な問題があった場合は最大過去7年間まで遡って徹底した調査が行われます。

○どんな資料が対象になる?

税務調査における対象資料は、以下の通りです。

  • 法人税、所得税、消費税、決算書、内訳書、概況書などをはじめとする税務申告時に税務署に提出している申告書類等
  • 給与支払報告書、源泉徴収簿、源泉徴収票など
  • 仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳をはじめとする帳簿書類
  • 現金による経費の支払いの領収書と現金売上の領収書
  • 支払請求書・売上請求書
  • 業務委託契約書や賃貸借契約書、売買契約書をはじめとする契約書
  • 預金通帳
  • パソコン内のデータ

申告書類等に関しては、年末調整の際に計算を間違っていないか、納付期限内に納付できているかどうかが厳しくチェックされます。

領収書は特に厳しくチェックされる税目で、支払に関する領収書は特に金額が高いものほど厳しくチェックされます。

支払い請求書については、請求内容や計上時期に差異がないか確認します。

売上請求書についても、見積書や納品書も合わせて確認されるでしょう。

預金通帳はお金のやり取りが正確に記載されているため、決定的な証拠になります。

したがって、収入や支出が正確に申告されているのか、不正がないか調査されます。また、手元になくても税務職員は銀行から通帳を直接取り寄せられる権限もあるため、確実にチェックされるのがポイントです。

また、パソコン内で以上のような書類を保存している場合は、それらすべてのデータが求められます。

◆ 税務調査の恐ろしいところ

税務調査の恐ろしいところは、以下の通りです。

  • 抜き打ちで調査が入ることがある
  • 税務調査中は業務ができない
  • 鋭い質問が来る

それでは、税務調査の恐ろしいところについてご説明しましょう。

○抜き打ちで調査が入ることがある

最も恐ろしいのは、事前連絡なしでいきなり企業に税務職員がやってきて税務調査を行う抜き打ち調査を実施する可能性があることです。

抜き打ちで税務調査を行うのは、事前連絡をしたことによって企業が隠ぺい工作をしないようにするためです。

税務署で対象となる企業が確実に重大な問題を起こしていることが判明した場合、事前連絡してしまうと不正の事実が隠ぺいされてしまう可能性があります。

それでは意味がないので、確実に不正の証拠が掴めるようにするために抜き打ち調査を行います。

いきなり税務調査を開始することによって、言い逃れできない証拠が見つかる可能性が高く、税務職員は経営者から不足分の税金や延滞税、罰則などを徴収することができます。

○税務調査中は業務ができない

税務調査の事前連絡を行ったときや、税務調査中は業務ができなくなります。

事前連絡が来た場合は、調査日に向けて調査の対象になるすべての書類を用意しなければならないので、準備に時間がかかるほど業務ができなくなるでしょう。

また、税務調査中は事の成り行きを見ているしかないので、質問に答えられるようにするために業務を進めることはできません。

○鋭い質問が来る

税務職員は基本的に税務調査を行っている最中にさまざまな質問をしてきます。

たとえば、接待交際費が発生していた場合、そのときの接待には誰がどのくらいの人数で参加していたのか聞かれます。

現金売上の領収書の場合、どんな方法で売り上げを管理しているのか聞かれる可能性が高いです。これは通帳ではなく現金での受け取りが把握しにくく、不正が行われやすいからです。

なお、税務職員がしてくる質問は非常に精度が高く、言い逃れしようとして何度も嘘をついたり矛盾した発言をしたりしていると、問答無用で追徴課税の対象になります。

こちらの回答のあらゆるところから突っ込めそうなところを質問してくるのは、納税者が言い逃れできそうな部分を潰す目的で行っているのがポイントです。

◆ まとめ

税務調査は非常に恐ろしいものであり、こちらが焦れば焦るほど相手の思うツボに嵌まっていきます。

問題が見つかろうものなら過去5年間、重大な問題があった場合は最長7年間まで遡れるなど、税務職員の権限は非常に凄まじいので、抵抗するだけ無駄というものです。

しどろもどろになりながら答えていると、あっという間に追徴課税が課されたり別の問題に発展したりするので覚えておきましょう。

また、不正を行っていなくても税務調査の対象となることは十分にありえます。その場合でも、税務調査の内容は変わりません。資料の準備や税務調査の際の税務職員対応は、かなりの労力と時間を要します。通常業務に支障が出ることはもちろん、心労も大きいでしょう。

そんなときは、プロに任せてしまう、という選択も『あり』なのではないでしょうか。
通常業務からかけ離れた内容である税務調査の準備や税務調査の際の税務職員対応は、慣れていないとかかる労力も時間も莫大なもの。それらはプロに任せて、会社の方では通常どおりに業務を回したほうが、ずっと建設的です。

もし税務調査対応を任せられる税理士がいない、探している、という場合は、CROSSROAD税務対策事務所の税務調査あんしん対策パックの利用をご検討ください。

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